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大学に入って数学に苦労している学生さんは少なくないようです。
文系受験だったので高校時代は数学をほとんど勉強してこなかったが、経済学を学ぶことになって数学ができずに困っている、という人。
あるいは、高校時代は数学が苦手ではなかったのに、大学に入って一気に難しくなってわからなくなってしまった、という人。
様々な理由で数学への苦手意識が克服できないあまり、「数学なんか生活するのに役に立たない」と思ってなるべく数学を避けて通るような人もいるかもしれません。
しかし、社会に出ると算数や数学が全く役に立たないかというと、決してそんなことはありません。
算数や数学を学ぶことのメリットは確かにあります。
その一つが、「数字に強い人」になれる、ということです。
例えば、二桁の掛け算の暗算がパパッとできたり、「何割」や「何パーセント」と言われた時に即座に計算して答えられたりするだけで、「この人は数字に強い人だ」という印象を周囲に与えることができます。
何も難しい微分・積分ができなくても、「小学校の計算」レベルが身についていれば誰でもできることなのですが、小さい頃から「算数(数学)が苦手」と思って敬遠してしまうとこれがなかなかできないのです。
「AはBである」「BはCである」「ゆえにAはCである」というのは単純な三段論法ですが、このように論理的に段階を踏んで答えを導き出すことができるかどうか、という力は数学が養ってくれるものです。
特に、論理的思考を鍛えることができるのは、証明問題です。
証明問題は、まず仮定を立てて結論までの道筋を導き出すことができるかどうか、が鍵。
学校教育では中学校2年生の時に「三角形の合同を証明する問題」が登場して、初めて本格的な証明問題を習うことになっていますが、ここでつまずく中学生は多いと言われています。
数学によって論理的思考を鍛えることで、他人を説得できるような力を持った話し方ができるようになったり、説得力のある文章を書いたりすることができることに繋がります。
こうした力は、社会においてたいへん重要なものです。
中学校の数学が、社会人としてのスキルに繋がっているわけです。
最近の若者は「論理力が足りない」という言葉を耳にしたことはありませんか。
色々なことをすぐに「うざい」と言ってしまう人が多くなっているので、そのように結論づけられることに繋がるようです。
「AだからBである」「BだからCである」「ゆえにAはCである」という論理的な手順を踏むのを面倒臭がって、すぐに「AはC」という結論だけを求めてしまっていませんか?
確かに、こうした手順を踏むのは「うざい」かもしれません。
しかし、この「うざい」手順をおろそかにしていては、論理的な思考力は身につかないのです。
自分の気持ちや言いたいことを相手にわかってもらうためには、やはり論理的な手順は必要です。
例えば「最近、忙しい?」と言われて「微妙」とだけ答えていては、あなたが本当に今どういう状況にあって何を考えているのかを相手に正確に伝えることはできません。
「今、新しいアルバイトを始めたところで、覚えることが多くて忙しいんだ」というふうに「AだからB」「BだからC」という手順を踏んで話せば、相手に正確な情報を伝えることができます。
そうすれば、例えば遊びに誘われてそれを断ったとしても、「こういう理由で今は遊べないんだな」と納得してもらうことができます。
「微妙〜遊ぶの無理〜」だけでは、本当の意味でのコミュニケーションは成立していないのです。
算数や数学を学ぶことのメリットには、まずは単純に「計算など数字に強くなる」ということが挙げられます。
しかし数学のメリットはそれだけではありません。
もっと大きなメリットは「論理的思考が身につく」ということ。
そしてこの「論理的思考」は人とのコミュニケーションにおいて何よりも重要なスキルです。
社会に出て、様々な属性を持った人とコミュニケーションを取ることが求められるようになった時に、数学によって培った「論理的思考」は大いに役に立ってくれるに違いありません。
数学が苦手だな、という人もそうした自分のスキルになると考えて、頑張って数学に取り組んでいってください。
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