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大学物理(量子力学)

 

目次

量子力学とはどんな分野?

 

古典力学との違い

 

物理学は古典論と量子論の2つに分けることができますが、高等学校までに学習した物理学のほとんどは古典力学(古典論)の分野です。

 

古典力学では身近に存在する物体の運動や作用する力、重力などについてを議論します。

 

古典力学で取り扱われる運動方程式や慣性の法則を活用すれば、物体の位置や速度を正確に予想することが可能です。

 

古典力学を応用することで、人工衛星や惑星探査機を正確な軌道に乗せることもできます。

 

古典力学に対して量子力学(量子論)では非常に小さなミクロの世界で起こる現象を取り扱う学問で、原子や素粒子の挙動を議論します。

 

ミクロの世界では古典物理学のように将来の出来事を正確に予測することは原理的に不可能で、素粒子は確率論的な挙動をすると考えられています。

 

私たちの身の回りにある物質を構成する原子の構造や現象については古典物理学だけでは説明することができないため、確率論的な考え方をする必要があります。

 

素粒子はモノとしての性質と共に波の性質も持つため、三角関数を含む波動方程式が使用されます。

 

量子物理学の考え方は物理学の他にも化学や工学などの分野で幅広く応用されています。

 

日常の例

 

例えばノートパソコンや携帯端末用のディスプレイのバックライトに使用されているLED素子(発光ダイオード)は量子論的な考え方に基づいて開発されました。

 

現在は量子コンピュータや超電導コイルなどの応用研究も進められています。

 

この分野は非常に小さな素粒子の世界が取り扱われているので身近に感じにくいのですが、磁石のN極とS極が存在する理由を電子の状態(スピン)によって説明することができます。

 

特徴や学習内容とは?

 

学部レベルの量子力学では不確定性原理の基本式からスタートして、光や電子などの挙動や性質についてを議論します。

 

高校課程の物理学でコンプトン散乱(効果)で光のエネルギーがhμ(プランク定数×振動数)であることを学習しますが、このような考え方を基にして波と粒子の性質の違いについてを学習します。

 

最初に原子の電子軌道を求めるために、シンプルな1次元の井戸型ポテンシャルのモデルを考えます。

 

1次元の井戸型ポテンシャルモデルから波動方程式を導出し、これを3次元に拡張することによって原子の構造(電子軌道)を求めます。

 

このようにして得られた電子軌道から電子のスピンやエネルギー準位、原子における電子軌道の形、分子の結合や構造についてを説明することができます。

 

 

勉強方法のポイントとは?

 

古典物理学では普段の生活で見たり感じている現象を数式で表現しただけなので、高校までの物理学は比較的容易に理解することができます。

 

これに対して量子力学では人間のスケールから見れば常識を覆すような内容ばかりなので、多くの大学生が理解するのに苦労する分野のひとつです。

 

それでも不確定性原理の基本式以外は高校で学習する古典物理や波の性質についての基礎的な内容がベースになっているため、高校で学習した物理学をしっかり復習しておくことが勉強方法のポイントです。

 

波動方程式を導出する際に、大学課程の数学(応用数学)で学習する微分方程式の解法を使用します。

 

事前に応用数学の授業を受けて波動方程式の解法を身に付けておけば、学習を進める上で大いに役に立ちます。

 

三角関数が苦手な方であれば、高校数学の内容もきちんと復習しておくようにしましょう。

 

まとめ

 

大学で学ぶ量子力学では多くの学生が苦手とするベクトルや波動の分野が取り扱われるので、数学や高校物理の基礎をしっかり身に付けておく必要があります。

 

不確定性原理の意味や波動方程式の内容が分かれば、原子・分子・素粒子の性質をより一層理解することができるようになります。

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